ニュースリリース

2014年 データ復旧業界の市場規模についての調査結果を発表

2015/12/04

世界的なPC出荷台数の低迷を反映しながらも、
NAS
等のバックアップ用ストレージの増加により、復旧依頼数、復旧台数とも微増

日本データ復旧協会、
昨年に引続き、2014年(1-12月)のデータ復旧市場規模について統計データを発表 
HDDの復旧依頼件数は81,000台、復旧件数は64,800台余

データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会(住所:東京都港区 理事長:濱田兼幸、以下、日本データ復旧協会)は、昨年(2013年(1月-12月)統計)に引続き、2014年(1月-12月)統計のデータ復旧協会の市場規模を発表しました。

 調査の結果、2014年(1月-12月)における業界全体のHDDの復旧依頼件数は、前年比8,000台増(サーバー案件の4,500台含む)の81,000台、復旧台数は前年比6,400台増の64,800台と推定いたしました。これは、PC出荷台数の世界的な低迷の中、スマートフォン・タブレット等の普及による、NAS1等のバックアップ用ストレージ(外部記憶装置)の増加が反映し、微増となったものと考えられます。

 次年度以降、「マイナンバー制度導入」の影響として、社会全体としてセキュリティやデータの重要性への意識・関心が高まり、一般の方々から当協会へのお問い合わせが増えるものと考えます。これまでも情報セキュリティの観点には注力しておりましたが、協会として今後もより一層の管理徹底を喚起して参ります。

※1)NAS(Network Attached Storage) : ネットワークストレージ、ネットワーク接続ストレージ。
NASとは、ネットワークに直接接続し、コンピュータなどからネットワークを通じてアクセスできる外部記憶装置(ストレージ)。

今回の復旧依頼数、復旧台数の推定根拠は下記の通りです。

PC ※IDC参考 外付けHDD(NAS含む)
  販売台数(2014年) 1540万台 販売台数(2014年) 300万台
  稼働分(5年分) 6600万台 稼働分(5年分) 1500万台
  データ喪失率 1.00% データ喪失率 1.00%
  復旧必要台数(②×③) 66万台 復旧必要台数(⑧×⑨) 15万台
  復旧依頼率 10.0% 復旧依頼率 7.00%
  復旧依頼台数(④×⑤) 6.60万台 復旧依頼台数(⑩×⑪) 1.05万台
サーバー※IDC参考  
販売台数(2014年) 57.0万台 合計復旧依頼数(⑥+⑫+⑱) 8.10万台
稼働分(5年分) 300万台 復旧率 80%
データ喪失率 1.00% 復旧台数 6.48万台
復旧必要台数(②×⑮) 3.00万台  
復旧依頼率 15.0%  
復旧依頼台数(⑯×⑰) 4500台  

※1有効数字は3桁とする。
※2 ⑤,⑪,⑰の復旧依頼率は昨年同様、各社の経験値から算定。
※3「外付けHDD(NAS含む)」の販売台数については、当協会独自調査から推計。

< 市場規模からみた今後の見解 >【マーケットとしての業界動向】

スマホやタブレット普及によるバックアップ用ストレージの増加、

「マイナンバー制度」導入によるセキュリティやデータの重要性への社会的関心の高まり

世界的なパソコン出荷台数の激減とともに、スマートフォン、タブレット端末の爆発的な普及という状況を踏まえ、
データを保存する媒体や周辺機器に大きな変化が訪れたこともあり、当業界にも少なからずその影響が表れつつあります。例として、PCやスマートフォン・タブレット端末、および家電品との情報を共有するためにNAS(Network Attached Storage)等のバックアップ用ストレージが一般家庭にも普及してきたことで、従来、法人中心のビジネス需要を主体としたデータ消失トラブルが圧倒的だったNASへの復旧依頼内容が、近年個人需要も含めて多様化し、増加してきたことなどが挙げられます。ただ、このようなストレージの大容量化に伴う業界各社の作業負担増加に伴う経費を踏まえた料金体系と、個々のユーザーが抱く価値観とのコストバランスの形成が難しい状況にありますので、
協会としてはデジタル社会のデバイスやインターフェースの変遷を見守りながら、今後の業界統計を考えていきたいと存じます。

またマイナンバー制度施行後の情報セキュリティ観点から、今後データの社外への持ち出し規制などの影響も予想され、それに対応したデータ復旧作業体制が求められることも考えられます。社会全体として、「マイナンバー制度」導入により、セキュリティやデータの重要性への関心が高まり、日本データ復旧協会へ一般の方々からのお問い合わせも増えるものと考えます。

< 最新の技術情報と対応事情 >

・SSDなどのメモリストレージのデータ復旧について

技術的な観点から言えば、SSD2のデータ復旧は困難なもので、現実的とは言えません。確かに、近年、SSDに使われるNAND型フラッシュメモリ3製造における集積技術は飛躍的に発展し、大容量化を成し遂げました。しかし、NAND型フラッシュメモリは消耗軽減を記録制御で行なうことから、コントローラの記録アルゴリズムも複雑化しています。このアルゴリズムはメーカーの技術情報として厳重に保護され、開示されることがないため、データ復旧の手掛かりとなる技術情報が常に不足した状態となります。従って、これらのメモリストレージに対して行われる解析は手作業に等しく、多大な時間と工数を投資しても、データが復旧できる可能性は極めて低いのが現状です。このような状況もあり、SSDなどの半導体ストレージを実装したコンピュータをご利用の方々には、協会として定期的なバックアップを行なうことを強くお奨めいたします。

※2)SSD(Solid State Drive):フラッシュメモリを用いた記憶装置。現在、多くのPCやスマートフォンに使われている。

※3)NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory): NAND型フラッシュメモリは、磁気ディスクに代わり、データの保存・運搬等に利用することを主な用途としている。メモリカードメディアに広く応用されており、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDメモリーカードなどの記憶素子として利用されている。

・スマートフォンのデータ復旧について

スマートフォンのデータ復旧について、ご利用者からのお問い合わせをたくさんいただきます。まず、スマートフォンの修理と通常のデータ復旧は異なりますので、依頼時の業者選択においては特にご注意ください。iPhone, iPadでは、メーカーのセキュリティによりデータは暗号化されているため、データ削除後は復元が困難なことがほとんどです。まず、PCやiTunesなどに接続した経緯がないかを確認しておくことをお奨めします。スマートフォン全般においては、データ復旧作業を行なうことでメーカーの保証が得られなくなることがありますので、これからデータ復旧をお考えのお客様は、端末を購入した店舗、ご契約中のキャリアなどへお問い合わせください。

・「デジタル証拠」(電磁的記録証拠)の採取を目的としたデータ復旧について

近年PCやスマートフォンのデータ復旧依頼目的として「デジタル証拠」(電磁的記録証拠)の採取を目的としたデータ復旧についても増加傾向にあります。まずPCデータの場合、これら証拠採取工程の知識に乏しい業者に依頼することで証拠能力を消失する場合があります。スマートフォンにおいても同様で、デバイスにはメーカーによる厳重なセキュリティが施してあり、誤った作業を行なったばかりに証拠として利用できなくなることもあります。このような作業特性もあり、業者へ依頼する場合は必ず「復元した結果を裁判や弁護士が用いる」とお伝えください。言い出し難い内容かと思われますが、法的な証拠能力を維持するためにとても重要なことになりますのでくれぐれもご注意ください。

 

 

< 当協会が推進するサービスクオリティ >

・「データ復旧サービスの信頼性について」

これからデータ復旧を依頼される方々のために、市場に存在するさまざまなサービスから何を基準に業者を選択すべきかの判断として、以下に6つのチェックポイントを挙げてみました。

【 対応 】 依頼を煽るような対応がないか、事前に同意できる説明が行われているか。

【 規模 】 従業員がいる法人であるか、ネット上だけで受注している個人ではないか。

【 場所 】 所在地はバーチャルオフィスやマンション、自宅の一室などではないか。

【 環境 】 大事な情報を預けるにあたり、セキュリティや保管に適した施設であるか。

【 設備 】 高性能なデータ復旧ツール、クリーンルームなどの作業設備を整えているか。

【 認証 】 ISO、ISMS、Pマークなどの第三者認証を取得しているか。

これだけではありませんが、誤って粗悪なサービスを選択するリスクは軽減できると思われます。そして価格についての判断方法ですが、この6つのポイントをクリアできるビジネス環境を維持する場合を前提に考えてみてください。企業規模、地域物価、このバランスこそが適正な価格とサービスを判断する基準になると思います。

・「データ復旧会社の復元率について」 

(「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに誇大表示している会社には気を付けてください)

よくお客様からのお問い合わせで、「「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに記載している会社があるが、どのような基準になっているのか?」というお問い合わせをいただくことがございます。本来、データ復旧という作業は、お客様が本当に重要で対価をかけても復旧させたいというデータを復元することにあります。しかしながら、一般的に、お客様が本当に重要としているデータが何なのか、そしてお客様のコンピュータにどのくらいのデータ量が存在するのかということは、まったくわからないことです。従って、復旧するデータの内容をお客様ご自身から正確に知らされない限り、データ復旧作業後に希望するデータがどの程度復元できたのかも判らないものです。そして、これらすべてのことはデータ復旧が無事に達成したあとに初めて判断や確認ができるものといえます。ですから、すべてのデータ復旧業者に共通して言えることは、事前に正確な復元率など判るはずなどがないということになります。このことを前提として考えてみると、最初から「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに、誇大な復元率を表示している会社には、十分気をつけた方がよいと思われます。

・当協会の存在意義:

当協会会員企業ならびにデータ復旧に携わる者は、データ損失による精神的、経済的損失を最小限にするという社会的責務を負っているとの認識のもと、より社会に貢献できるよう日々努力を続けています。同様に当協会のHPやメディアを通じて、より有益な情報を社会に提供できるよう活動を続けてまいります。

< 当協会の新たなマニフェスト >

・「マイナンバー」導入後の対応について

日本データ復旧協会が設立され5年半が経過いたしましたが、会員企業一同決して変わらぬ不動の精神として持ち続けるもの、「データを扱うポリシー」です。データの価値は多様なものであり、企業や組織の存続に影響する情報もあれば、個人にとって人生を左右するような情報もあり、これに対して、私達がその価値を推し量ることはとてもできるものではありません。そのような大切なデータへの思いは、「マイナンバー」に関しても同様であり、会員企業一同、お客様から預かる情報すべては、機密情報として厳重に管理され適切に取り扱われることを旨とし、厳守していくことをお約束いたします。

・業界全体に対して、児童ポルノ排除に対する取り組みを進めています。

 日本データ復旧協会では、児童ポルノ排除に向けた取り組みを社会に先駆け、2012年2月より取り組み、業界全体に向けて、発信しています。子供たちの未来が永遠に傷つくような結果を出すことは、社会として悪しき者への助長行為でもあり、特に当業界としてあってはならないことです。その確固たる対応の証として、児童ポルノに関しては、データ復旧等への作業依頼内容から該当情報が発覚した場合、会員企業一同然るべき措置を執り行っており、悪質な場合においては警察機関への報告を行っています。

 

 

■「DRAJ 日本データ復旧協会」について

データ復旧業界の健全な発展を図るため、2010年2月1日「DRAJ 日本データ復旧協会」を発足。データ消失トラブルでお困りのすべてのお客様に対し、正しい情報を提供することで健全なる業界発展を図ることを目的とした日本を代表する業界団体として活動を続けています。

【活動内容】

  • 協会HPによる、技術情報の提供による啓蒙活動を実施する。
  • 展示会などに共同で出展し、広く一般の方にも「データ復旧事業」に関する認知向上活動を行う。
  • 「データ復旧」を行っている他社にも協会参加を呼びかけ、データ復旧業界のスタンダードを目指す。
  • 社団法人化も視野に入れて、活動基盤の充実を図る。

IT化促進に伴い、現在進行中のクラウドコンピューティングや仮想化等にも対応するため、各社の技術向上に努める。

※協会関連情報は、以下の専用HPでご参照ください。

URL: https://www.draj.or.jp/

《日本データ復旧協会加盟企業:平成27年12月4日現在》 ※50音順

・アドバンスデザイン株式会社

・株式会社アラジン

・大阪データ復旧株式会社

・株式会社くまなんピーシーネット

・富士通インターコネクトテクノロジーズ株式会社

・株式会社データサルベージ

・株式会社ワイ・イー・データ

※ご入会についてのお問い合わせは上記HPをご覧ください。

【報道関係のお問い合わせ先】

日本データ復旧協会事務局:

TEL: 03-5771-2262

E-mail : press@draj.or.jp

URL : https://www.draj.or.jp/

【日本データ復旧協会への一般の方々のお問い合わせ先】

日本データ復旧協会事務局:

TEL: 03-5771-2262 (月曜日~金曜日:10時~19時まで)

URL : https://www.draj.or.jp/