ニュースリリース

児童ポルノ撲滅キャンペーンについて

2019/3/31

本キャンペーンについて

インターネットの普及、利用者の低年齢化により児童ポルノの製造や取引、所持が横行し、 児童ポルノにかかわる逮捕の報道が行われているにもかかわらず、摘発件数は増え続け、撲 滅には程遠い状況です。 このように、児童ポルノ撲滅に向けて官⺠一体となった総合的な対策が求められている中 で、ハードディスクやメモリーカード等の記録メディアからのデータ復旧サービスを営む 企業で構成される業界団体「一般社団法人日本データ復旧協会」は、以前から児童ポルノ排 除に向けた取り組みを行っており、2012 年 2 月 23 日には以下の宣言を行っています。
日本データ復旧協会では、以下の内容を会員企業の責務としております。

責務宣言

  1. 児童ポルノのデータ復旧依頼は受け付けません
  2. 調査・作業の過程で児童ポルノのデータが含まれていることが判明した場合は、直ち に調査・作業を中止いたします

児童ポルノは犯罪者が子供の権利を侵害した「犯罪」です。 データ復旧は本来救いを求めるお客様に手を差し伸べるサービスですが、児童ポルノのデ ータ復旧依頼を受け付けてしまうと、犯罪行為の手助けとなってしまうため児童ポルノデ ータの復旧は拒否いたします。

日本データ復旧協会は、本キャンペーンを通して児童ポルノが「違法」であるとの認識を広 めていきたいと考えており、児童ポルノを所持するだけでも被写体となった児童の権利を 侵害する「違法行為」であることを意識していただくきっかけになることを願っております。

児童ポルノに関わる法制度について

2014 年 6 月に改正された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童 の保護等に関する法律」の第七条において児童ポルノの所持、製造、提供、陳列が禁止され、 罰則が規定されており、違反すると以下の罰則が科せられます。

所持:1 年以下の懲役または 100 万円以下の罰金
製造・提供:3 年以下の懲役または 300 万円以下の罰金 不特定多数への提供または公然と陳列:5 年以下の懲役、500 万円以下の罰金、またはその 両方
http://elaws.e- gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=411AC1000000052


他人に提供する目的ではない児童ポルノの単純所持および、盗撮による児童ポルノの製造 は、2014 年の法改正で処罰の対象となりました。 また、プロバイダや掲示板運営者などのインターネット事業者は児童ポルノの捜査協力、拡 散防止措置などの努力が求められるようになりました。


児童ポルノ撲滅への取り組みは国内だけではなく、世界で行われています。
1990 年に発行され、日本も 1994 年に批准した「児童の権利に関する条約(子どもの権利条 約)」は 18 歳未満の児童の権利を大人と同等に認め、批准国は児童の最善の利益のために行 動しなければならないと定められています。
2000 年にはこの条約に基づく議定書として「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関す る児童の権利に関する条約の選択議定書」も採択されています。 https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html

事件化される例

単純所持で逮捕された事案としては、違法 DVD 販売会社からの購入、配信サイトからのダ ウンロードなどがあります。

また、2014 年の法改正時に「ひそかに児童ポルノを製造した者」も児童ポルノ製造と同じ 扱いとなりました。販売や提供目的でなくても、盗撮により児童ポルノに該当した写真や動 画を撮影すると 3 年以下の懲役または 300 万円以下の罰金が科せられます。


スマートフォンで用いられる技術を応用して非常に小さなデジタルカメラを作ることが可 能になりましたが、見た目を偽装した盗撮用小型カメラは、盗撮を防止する観点から国内の 業者ではあまり取り扱いがありません。しかし、ネットでは国境を越えた通販が容易にでき るため、盗撮カメラの完全な排除は難しいのが現状です。


盗撮自体は迷惑防止条例等での規定がありますが、迷惑防止条例よりも罰則が重く、盗撮に よる児童ポルノの製造には「公共の場所で」という制限がないため、自宅などの私有地での 盗撮も対象となります。

盗撮による児童ポルノ製造は、画像の保存ができた時点で児童ポルノ製造となるため、未遂 だと処罰の対象外となります。しかし、盗撮しようとしたところを通報されて、証拠品とし て押収された携帯電話からダウンロードした児童ポルノが見つかり単純所持で逮捕される ケースもあります。

意外なところでは、Twitter におけるリツイートにも注意が必要です。Twitter 上の投稿は 「公然と陳列」に該当するため、児童ポルノ画像が添付されたツイートをリツイートするだ けでも処罰される可能性があります。

最近では、SNS の普及と利用年齢の低年齢化により、児童自身による児童ポルノ製造も問 題視されています。身分を偽って児童と同世代と思わせて接触して交流を深め、最終的に裸 の画像を撮って送信させるという手口で児童ポルノを製造させ、逮捕された事件もあります。

この場合、撮影した児童自身も児童ポルノ防止法違反(製造)となり、撮影させた大人は共犯 または共同正犯となります。また、自分で撮影した裸の画像をパスワードで閲覧制限をかけ られるサービスにアップロードし、閲覧用パスワードを SNS などで販売することで、小遣 い稼ぎをするという事例もあります。

こういった画像は本人が知らないうちに転載されてネット経由で広まることもあり、新た な児童ポルノの供給源となっている側面もあります。

具体的な児童ポルノの摘発事例

実際にどのような摘発が行われたのか、いくつか具体例をご案内します。

CASE.1 児童ポルノ販売サイトと顧客の摘発
2017 年 5 月に警視庁が会員制児童ポルノ販売サイトを摘発し、約 7200 人の顧客データを 押収しました。その後、事件化可能と判断した顧客情報を全国の警察本部に提供し、2018 年 12 月時点で 870 人が書類送検されています。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1812/12/news060.html

CASE.2 児童ポルノ画像の単純所持で逮捕
2015 年 9 月に、横浜市の小学校教諭がスマートフォンで女性のスカート内を盗撮しようと して警察に通報され、押収されたスマートフォンから、児童ポルノと思われる画像が見つか りました。その後、家宅捜査が行われ、自宅のパソコンからも児童ポルノと思われる画像が 見つかり、児童ポルノの単純所持で書類送検されました。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201512/images/phps1Fzm7.pdf

CASE.3 盗撮による児童ポルノ製造で逮捕
2016 年 7 月に大阪市の中学校教諭が勤務先の中学校の女子更衣室にビデオカメラを設置し、 児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕されました。 http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000374976.html

CASE.4 児童ポルノ画像のリツイートで書類送検
2014 年 11 月 21 日に Twitter 上に投稿された児童ポルノ画像をリツイートしたとして、横 浜市と大阪府の男性が児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の疑いで書類送検されました。
https://www.bengo4.com/internet/1077/n_2325/

CASE.5 スマホアプリで知り合った女児に裸の写真を送信させて逮捕 スマートフォン向けアプリの掲示板を通じて小学生女児と仲良くなった小学校講師が、裸 の写真を送らせた疑いで、強制わいせつと児童ポルノ禁止法違反(製造)で 2018 年 11 月に 逮捕されています。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_8881/

CASE.6 児童ポルノ配信に利用されている自社サービスで対策を取らず、逮捕 利用者が写真を掲載し、設定した合言葉(パスワード)を知っている人だけが閲覧できるサー ビスを運営していた会社社⻑が、児童ポルノの販売に利用されていることを知りながら削 除などの対策を取らず、児童ポルノの公然陳列を手助けしたとして、2015 年 11 月に児童ポ ルノ禁止法違反(公然陳列)幇助の疑いで逮捕されました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%99%E7%9C%9F%E8%A2%8B

求められる対策

最近では、児童自身による撮影による児童ポルノの製造が増えています。パソコンやスマー トフォンのフィルタリングソフトを活用し、危険なサイトに近づかせないという対策もあ りますが、フィルタリングソフトも万全ではありません。そのため、家庭や学校で子供たち にインターネットの安全な使い方を教えることが求められています。それでも、被害が発生 した時には、周りの大人たちが子供の変化に気づき、すぐに相談に乗れる体制を整える必要 があります。


インターネットの普及が児童ポルノの拡散につながっている現状ですが、同時に、インター ネット企業の技術が児童ポルノを減らす効果ももたらしています。

たとえば、Microsoft は、画像マッチング技術を用いて、児童ポルノと判断された画像が自 社サービスにアップロードされたときに自動的に削除したり、アカウントを停止したりす る対策を行っています。この技術は企業の枠を超えて Google や Facebook にも提供されて おり、Gmail や Facebook 上に児童ポルノ画像が送信されたときにブロックするようになっ ています。また、Google は検索結果に児童ポルノを含むページを表示させないという対策 も行っています。

日本においては、一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会が作成した児童 ポルノサイトのアドレスリストをもとに、インターネットプロバイダ、検索サイト、フィル タリングソフトメーカーが該当ページにアクセスできなくする「ブロッキング」を行ってい ます。

関連ページ

STOP!子供の性犯罪 (警察庁) https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/index.html

平成 30 年における子供の性被害の状況 (警察庁) https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/measures/statistics.html

児童ポルノ対策 (警察庁) https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/measures/child_pornography.html

都道府県警察の少年相談窓口 (警察庁) http://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/soudan.html

STOP! 自画撮り! (警察庁) https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/newsrelease/2017_selfy_2.pdf

あなたのお子さんは大丈夫?スマホ、携帯にご注意を!
ネット犯罪の落とし穴 (政府広報)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201503/3.html

自画撮り被害が増加! SNS 上の出会いに要注意!! (政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg16428.html

ブロッキングによる児童ポルノ対策 (安心ネットづくり促進協議会)
https://www.good-net.jp/blocking/

インターネットコンテンツセーフティ協会
http://www.netsafety.or.jp/

子どもの権利条約 (ユニセフ)
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html