ニュースリリース

2010年 データ復旧業界の市場規模についての調査結果を発表

2011/11/10

~東日本大震災後、データ復旧サービスへの関心が高まり、問い合わせ相次ぐ~

 データ復旧協会、2010 年(1-12 月)のデータ復旧市場規模について、昨年に引続き発表

HDD の復旧復依頼件数は68,000 台、復旧件数は54,400 台

データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会(住所:東京都港区 理事長:濱田兼幸、以下、日本データ復旧協会)は、昨年(2009 年(1 月-12 月)統計)に引続き、2010 年(1 月-12 月)統計のデータ復旧協会の市場規模を発表しました。

本年は、USB 接続の外付けHDD とNAS の数字を加え、更に過去のPC 稼動台数にも深い考察を加え、数字の精度をより高めました。発表しました統計数字は、2010 年度のものですが、今年(2011 年)は東日本大震災により、電子データの重要性が今までに無く認知され、社会的にも注目を集めるようになりました。当協会参加各社もお客様から多くの質問、復旧依頼を受ける状況となりました。このような社会的認知度が上がってきている中、業界数字の発表を行うことは、社会的にデータ復旧業界が認知されるために重要な活動と位置づけ、今後もこれらの数字の精査を進め、業界全体の「見える化」を更に推進してまいります。

結果は、2010年(1月-12月)における業界全体のHDDの復旧依頼件数は68,000台(2009年は60,000台)、復旧件数は54,400台(2009年は48,000台)と推定いたしました。

 ■本年(2011 年)のマーケットの展望と課題について

●全体として、10%程度のマーケット拡大を見込む

本年は3 月の東日本大震災の影響で、一時的に依頼数が増加しました。

被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

被災地からの復旧のご依頼は増えたものの、その後の景気の低迷と不透明感から通年としては10%程度のマーケットの拡大になると見込んでいます。今年(2011 年)の統計数字に関しましては来年改めてご報告する所存でございます。

今回の震災を契機として、BCP(事業継続化計画)策定に対する認識も高まり、議論も多くなってきています。当協会といたしましては、このBCP の中にデータ復旧の重要性を認知して頂きたく活動を行ってまいりますので、ご支援のほど宜しくお願いいたします。

●タブレット型PC 搭載のSSD データ復旧の件

一方、最近急速に普及してきているタブレット型PC のデータ記録にはSSD が使われていますが、HDD とは全く異なったデータ記録方式を採用しているために、現在の復旧技術では確立していない部分もあり、協会各社はSSD への対応の体制を整えるべく、努力してまいります。

●増大するスマートフォンのデータ復旧について

更にスマートフォンのデータ復旧のニーズにも応える必要があると認識していますが、各社研究段階であり、サービス提供が出来る段階になりましたら、各社から発表させて頂きます。

 

◇2010 年(1-12 月)のデータ復旧サービス業界の統計について:

2010 年(1-12 月)のデータ復旧サービス業界の統計

① PC 販売台数はIDC 発表の数字
⑨稼働台数は経年と共に稼働率が下がる事を加味して推定
⑥ ⑬ 復旧依頼率は昨年同様、各社の経験値から算定
⑧ 外付けHDD 全体のマーケットは700 万台と予測されているが、レグザなど主要各社の薄型テレビで利用されている外付けHDD を除き、PC 用を300 万台と予測
⑬ 外付けHDD の復旧依頼率は製品の性格上、PC より低く各社の推定によりPC の半分程度と予測
※売上急増のUSB 接続外付けHDD を加算し、統計データの制度を高めました。
昨年はPC 本体、サーバーの数字を元に推定いたしましたが、本年は特に最近売上が急増し、一般的に利用されるようになってきたUSB 接続の外付けHDD とNAS の数字を加え、更に過去のPC 稼動台数にも深い考察を加え、数字の精度をより高めました。
復旧率に関しては、協会参加各社の実績値から近似値を提示させて頂いております。この数字は協会会員各社の技術レベルから考えて業界最高レベルであると考えられます。これらの数字は推定部分がありますが、誤差は±10%と考えております。従いまして、実際の復旧台数は最大59,800 台となります。

 

■日本データ復旧協会に対するユーザーからのご質問No.1 は

日本データ復旧協会が設立され1 年半が経過いたしましたが、その間、一般ユーザーの方々からも多くのご質問が寄せられました。その中で一番多いのが、どのデータ復旧業者が良いのかを教えて欲しいというものです。協会としては、特定の業者を紹介するという機能は持ち合わせておりませんので、「協会参加社の中からお客様にて決定していただきたい」とお返事を差し上げておりますが、業者選定はWeb 上での情報収集しか方法がないというのが現実でありますので、注意すべきポイントを改めて記載させて頂きます。

データ復旧協会設立の1 つの目的はデータ復旧に関する正しい情報を利用者にお伝えするというものです。従いまして、協会参加各社はHP記載の内容に関し正しい情報を記載しなければならないとの内部規定に沿った掲載を行っております。この点は実際に業者を選定される場合に電
話などでご確認して頂ければと存じます。

では、実際にどのような点に留意すれば良いのかをまとめてみました。

① 復旧率

データ復旧の復旧率は今回80%という数字を使用しております。これは、台数ベースの数字ですが、参加各社の数字を見てもこの数字が妥当であろうと考えております。これよりも高い数字をHP などに掲載されている業者も見受けられますが、協会として復旧率は日々変化するものとの認識の下(※1)、参加各社は発表しておりません。
この復旧率に関して掲載されている業者にご依頼の際は、期間、根拠は各社にご確認下さい。

※1:復旧率は、機械的な故障の場合、損傷の程度に大きく左右され、論理的な障害であっても、フォーマットや削除後に完全上書きされていて復旧不可能と判断されるケースも相当数存在します。また仮にデータの復旧が可能だったとしても使用者が希望するデータが復旧できなければ意味がありません。復旧率は集計する企業側の都合だけで90%とも95%とも言えますので、協会としましては復旧率を比較することは意味がないと考えております。

② 初期調査

初期調査無料と謳っている会社が殆どですが、協会として各社の実情を勘案し、この初期調査が何を指すかは規定していません。初期調査では媒体の状態を確認するだけの会社、復旧の可能性について簡易調査する会社、復旧可能なファイルリストまで提供する精密調査を行う会社もあります。従いまして、初期調査とは何を意味するものかの確認が必要です。

③ 価格設定

ユーザー様からのご質問で業者紹介依頼の次に多かったのが、価格が適正かどうかのご質問でした。データ復旧の価格設定もそれぞれの考え方があり、協会として規定できるものではありません。お客様にとって分かりにくい部分があることも承知しておりますが、価格協定を結ぶことは法律に抵触いたしますので、協会内でも開示はされていません。ただ、お客様に留意頂きたいポイントは価格に納得のいく説明があるかどうかです。例えば、調査後の見積価格を確認した後にキャンセルする旨を伝えた場合、何らかの理由をつけて半額以下の価格を提示するなど価格の変動が激しい業者は、最初の価格の妥当性が疑われますので注意が必要です。